まずそもそも血圧とはどのようなものなのでしょうか?血圧は血液が血管の壁を押す力の事です。この力が大きいことが「血圧が高い」となるわけです。しかし、寒かったり、運動したりして一時的に血圧が上がることがあります、これは血圧上昇にあたりますが「高血圧症という病気」ではありません。高血圧症は温かい場所であれ、安静時であれずっと血圧が高いままである状態のことが「高血圧症」という病気になるわけです。
この違いは実は大きくて、「高血圧という病気」ですとたまにではなく、血管にずっと圧力がかかり続けます。そうなると血管が傷ついたり硬くなったり傷んでしまいます。これが「動脈硬化」という状態です。この動脈硬化が長くなりひどくなると、全身の血管がつまったり破れやすくなったりして脳卒中や心筋梗塞や狭心症、更には腎障害などにもなることがあります。糖尿病や脂質異常症など生活習慣病は複数あり、どれも動脈硬化につながるので「予防」「早期治療」は重要ですが、「血管に直にダメージをあたえる」という事からすると「特に注意すべき病気」とも考えられます。
今まだ高血圧と健診などで言われていなくても、下記の項目が複数当てはまる人は「隠れ高血圧」「高血圧予備群」かもしれません。
たくさん当てはまる方は是非自分で測ってみてください。早期発見早期治療が大事ですのでもし高いようでしたら出来れば専門的な医師にご相談ください。
① 近親者に高血圧の方がいる
② 有酸素運動をあまりしない(あまり歩かない)
③ 頻回に飲酒をする
④ 濃い味が好き
⑤ 煙草をすう
⑥ 外食が多い
⑦ 麺類やスナックやインスタント食品などをよく食べる
⑧ ストレスが多い(慢性的な睡眠不足や多忙)
意外かも知れませんが何はともあれ節制です。煙草を吸われている方は禁煙、体重が多い方は肥満の解消、飲酒が多い方は節酒、運動しない方はまず歩く(有酸素運動)、日々の食事で塩分を減らすようにする、などがあります。
薬物療法は大変強力で有効でなくてはなりませんが体質を根本的に改善するわけではないので、まずは節制をして頂くことが重要なのです。
これは内服治療の前、もしくは内服治療をしながらでも継続的にコツコツやり続ける必要があります。
おすすめは「1日30分以上のウォーキング(早歩き)」です。ややはハアハア言うくらい汗ばむくらいの歩幅やスピードが適当ですので、決して無理はしないでください。最近の研究では土日などに歩き溜め(たくさん歩く)をするなどして平均10000歩とするより、平均2000歩少なくなっても日々8000歩以上歩く方が効果があると言われております。
まずはコツコツ頑張ってください。もちろん日々の買い物や自転車移動など日常生活の中の活動をちょっと強化(いつもの通勤経路をあえて遠回りするとか)するとかだけでも意味はありますので、いろいろ工夫して無理なく節制をできれば楽しんでやってみてください。
体重が増えて体が大きくなると大きくなった体にくまなく新鮮な血液を送るために心臓血管はその分無理をしなくてはなりません。そのため血圧が高くなります。体重が多い方は1kg減らすだけで1から2mmHgも血圧を下げることが出来ます。
正直みなさん理解されているがなかなか出来ないのが減量です、しかもほとんどの場合極端な減量(絶食とか)されてむりやり体重減少を図ってもリバウンドしたり、別の体調を崩したりしてしまいます。減量を達成することも大事ですが、それ以上に「減量のために頑張る事(過程、内容)」が重要かと思われますので、目的が入れ替わらないよう(あくまで降圧が目的)に頑張ってください。
日々の生活の内容(活動量)や年齢性別や体重などにより1日に必要なエネルギー量がわかります。そのエネルギー量より少ない食事であれば理論上はやせるはずです。正直なかなか自身の正確な基礎代謝量も把握しづらく、日々の食事の正確なカロリー把握もむつかしいです。最近はそれらのコントロールするためのアプリなどもありますので、活用してもいいかと思います。
基本はシンプルに「糖質摂取制限」と「いつも食べてる食事を全体的に八分目にする」、まずはこれだけでも良いかと日常診療をしている感触としてはあります。
飲酒は心臓血管に限れば多少はメリットがあるかもしれませんが、頻回・定期的・多量飲酒は血圧上昇の原因となっている可能性があります。不整脈(脈が乱れる心臓病の総称)に対しては確実に飲酒にて頻度が増加する傾向がありますが、血圧に関してはまだ完全に仕組みは判明しておりません。
自律神経(交感神経や副交感神経)などの影響などかなり関係は疑われており、飲酒と血圧に何か関係があるのはほぼ間違いはないかと思われます。特に実臨床では毎日定期的に飲酒されている方などが思い切った節酒や禁酒をされて、明らかに血圧が下がるというケースがよくありますので、是非節酒禁酒を頑張ってください。
塩分は大変重要なミネラルですが、採りすぎると高血圧になってしまいます。簡単にイメージとしては塩分(ナトリウム)を採ると水が体内に増えます(一緒についてきます)。心臓は体の中の水分を循環させるポンプですからボリュームが増えた体内の水分を循環させるためには心臓はより頑張らなければなりません、結果血圧が高くなる。という感じです。
逆に減塩を心掛けると明らかに血圧は低下します。塩分1日1g減らすと血圧は1mmHg低下すると言われています。おすすめとしては1日6gとされていますが、かなり厳しい目標値です。日本食は比較的健康に良いという研究結果は多いのですが塩分に対してはよろしくありません。
海に囲まれた日本で培われてきた日本食は世界的にみてかなり塩分は多い方なのです。普通にご飯を食べていて10g/日程度摂取しているという研究結果もありますので、減塩はなかなか大変です。
ちなみに香辛料や出汁は問題ないことが多いので、塩分以外で味を調えて減塩がいやにならないようにチャレンジしてください。また、野菜果物摂取することにてKなどのミネラルがたくさん体の中に入ってくると腎臓が働いてナトリウムを体の外に捨ててくれます。
結果野菜果物をたくさん採ると減塩になるわけです。食物繊維が塩分を吸着して体外に排出してくれるというデータもありますので野菜果物は是非たくさん食べてください。
降圧剤は非常にたくさんの種類があります。また、日々進化してきておりどんどんこれからもより良い薬が開発されてくるかと思います。
現在までには主に
①血管の筋肉に働いて血管を広げて血液の流れを改善して血圧を下げる
②血圧を高くする物質を抑えて、血圧を下げる
③心臓自体にやや動きを抑えるように指示をだして、血圧を下げる
④排尿量を増やして体の中の水分を減らして血圧を下げる
⑤血圧を高くする自律神経に作用して血管の緊張を緩和させて血圧を下げる
このような作用の薬があります。
単剤でのコントロールもありますが、いくつかを組み合わせて降圧を図るケースが多いかと思います。
ただ、最近は1日1回1錠というケースも多く、前ほど内服加療を続けていく負担は少なくなっているかと思います。
当院ではたくさんの高血圧の皆様のコントロールをさせて頂いております。「高血圧を健診で指摘された」「家族に高血圧患者がいる」「たまたま測ったら高かった」などご心配な方がいらっしゃいましたら、一度ご相談にいらしてください。