高尿酸血症とは血中の尿酸が高い状態が続くという疾患です。高尿酸血症は生活習慣病の一種であり、基本的には無症状にて進行し過剰な尿酸は結晶化して関節に沈着し炎症を起こして激しい痛みを起こしたり腫れたりします。こちらが一般的に痛風と呼ばれる状態です。
また、症状が認められなかったとしても腎臓に尿酸結晶が蓄積し腎臓のダメージが蓄積し腎障害を引き起こすこともあります。実際に病院に来られる方はたいてい強い関節痛にて痛風発作を罹患されるか、無症状で定期健康診断にて指摘されるかとなります。
なお、痛風発作を罹患するのはほとんどが男性で、大体年間100万人くらいになるそうです。女性は10万人以下とかなり少数派になります。女性ホルモンに尿酸を排泄する力がある事などが影響しているようです。
そもそも尿酸というものは肝臓によってプリン体から新陳代謝やエネルギー消費によって生成される老廃物の一種です。そのプリン体は私たちの体の中の細胞が新陳代謝をする過程で作られるもので、細胞の代謝や増殖を助ける役目を担っています。多すぎると肝臓で分解されて尿酸に代謝されます。最終的には尿や汗や便となって体外へ排泄されます。
この尿酸を排泄する量には限界があって、大体1日700mg程度とのことです。なお、この量は1日で体内で生成される尿酸の量とほぼ一緒です。つまり「尿酸がつくられる量が増える」もしくは「尿酸が排出される量が減る」とバランスがくずれ体内に尿酸がたまった状態になります。これが高尿酸血症の状態です。
体内で産生された尿酸は腎臓から尿中に排泄されますが、腎機能が悪くなっていると尿酸が排泄されずに血中尿酸値が高くなります。血中尿酸値のみを比べた場合には尿酸値が高いほど明らかに腎機能は悪くなっています。ややこしいのが未だに「尿酸が高いので腎機能が悪化した」のか「腎機能が悪化したので尿酸が高くなった」のかまだ完全には結論付けられてはいないことです。
ただ、実臨床では他にまったく腎臓を傷める原因がないような若い患者さんで「高尿酸血症と腎機能低下を併発」しているかたを良く拝見します。しかも尿酸値を治療により低下させると腎機能低下も改善することも良く経験します。尿酸値が6mgを超えると腎臓内に尿酸結晶が析出してくるのが電子顕微鏡では認められてくると言われてますので、ミクロの世界では健診などで指摘される基準値である7mgより、より低い数値にても尿酸にて腎臓は傷ついている可能性があります。明らかな腎機能の低下と明らかな高尿酸血症があり、他に腎臓を傷めるような病気が無いような若い方は痛風などの症状が認められなくとも尿酸値は下げるべきではないかと考えております。
尿酸が高値なると「酸化ストレス」が増加し血管の内皮細胞という部分がダメージを受けます。これが動脈の内壁に炎症を引き起こし、その部位にプラークが蓄積し動脈硬化が進行していきます。動脈硬化が進んでしまうと高血圧などと同じように脳卒中(脳出血や脳梗塞)や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などがいずれ引き起こされてしまうわけです。
原因のところで表しましたが、「肝臓で尿酸が作られる量」が「腎臓から尿中に排泄される量」を上回った場合に血液中の尿酸値が上昇しすぎてしまいます。その結果血液に尿酸が溶けきれずに関節の中に漏れ出してしまい、尿酸塩結晶という結晶ができます。関節内に沈着した尿酸塩がストレスや尿酸値の急激な変動により剥がれ落ちたりします。その剥がれ落ちた尿酸塩を白血球が異物と判断し処理しようし、炎症がおこります。これが激しく痛い痛風発作となります。
痛風は突発的に発生し、急激に悪化しますので本来は病気の内容的には内科的疾患になるわけですが、あまりにも激しいのでみなさん「足に何かとんでもないことが起こった」と思い「整形外科」に受診することも多いのです。それだけ激しい痛みになります。
何はともあれ尿酸のもととなるプリン体の摂取の制限が重要かと思われます。ただプリン体自体は様々な食品に幅広く含まれており、全く回避することは困難です。また、むつかしいのはいかにもたくさん含まれていそうな魚の白子とか干物、肉の内臓(ホルモン)などは分かりやすいのですが、健康にまだよさそうな鳥のささ身や胸肉さらには青魚のサバやいわしにもたくさん含まれています。むしろハムやウナギなどあまりたくさん食べることが芳しくないようなものがプリン体だけに限っては意外に少なかったりします。
なので総合的に考えて「プリン体を採らないようにする」というか「採りすぎないようにする」という方が始めやすいかもしれません。また、蒸留酒系(ウィスキーや焼酎)はプリン体自体はほとんど含みません。また「プリン体カット/プリン体0」を売りにしているアルコール飲料も最近は販売しております。ちなみに「プリン体の少な目なアルコールをのむ」という考えは間違ってはいませんが、「アルコール自体に尿酸値を高くする作用がある」ために飲酒自体が何を飲むにしても尿酸は上げてしまいます。なので飲まないに越したことはありません。
基本的には2種類の薬剤があり、基本的には検査結果をある計算式にあてはめて判断します。具体的には「体内での尿酸の合成を阻害する薬剤」「体内の尿酸の排泄を促進する」の2種類です。これは体質や生活習慣などにて選択します。この2種のタイプは併発している場合もあり、場合により両方を併用することもあります。
もともとは排泄低下型であっても多量飲酒習慣などがあったりした場合、むしろ「尿酸生成阻害」の方が有効となったりします。「尿酸合成阻害」の薬にも「尿酸排泄促進」の薬にしても複数あり、それぞれに特性も異なりますので専門家である医師によく相談し、選択してもらいましょう。
少し前まで「痛風の原因」「ぜいたく病」的なやや間違った感覚で扱われてきていた「高尿酸血症」ですが、大分見方扱い方が変わってきております。健診で指摘された、家族に高尿酸血症がいる、連日の飲酒習慣があるなどでご心配の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談にいらしてください。